日本より高い離婚率の中国、「冷却期間」新設に波紋

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 【上海=南部さやか】中国政府が、離婚の届け出から成立まで30日の「冷却期間」を設ける新制度を打ち出し、波紋を呼んでいる。少子高齢化対策として離婚を抑制するという政府の思惑の一方、家庭内暴力(DV)の被害者が離婚という逃げ道を失いかねない危険性も指摘されているからだ。

 新制度は、5月の全国人民代表大会(全人代=国会)で可決し、来年1月から施行される民事法令集「民法典」に盛り込まれた。冷却期間中に夫婦の一方が最終的に離婚に同意しなかった場合は、離婚届は取り消しとなるというものだ。

 中国で離婚は社会問題となっている。2018年の離婚率は3・2%で、日本の1・68%を上回る。新型コロナウイルスの流行で離婚手続きができなかった人たちが窓口に殺到したことも「コロナ離婚」として報じられた。新制度は、人口抑制策「一人っ子政策」が廃止された後も低調な出生率を改善させる狙いもあるとみられる。

 だが、人口比率が男性過多となる中国では、特に農村で男性側が再婚を悲観し、離婚への同意を翻すケースも指摘されている。DV相談に応じる北京の人権団体「北京為平」は、冷却期間によって離婚成立が遅れることで、女性側が「安全ではない場所に身を置き続けることになる」と懸念する。

 所有権や遺産の扱いなどを細かく規定する民法典は昨年末から1か月、草案のパブリックコメント(意見公募)を実施した。冷却期間の規定には「私権の侵害だ」と異論が上がっていた。

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