2023年10月27日

先見かつ斬新な作品により写真史に大きな影響を与えたウィリアム・クライン

Halloween
Masks Pose, Halloween, New York, 1955
William Klein

ウィリアム・クラインは、アメリカ生まれのフランス人写真家、映画監督であり、フォトジャーナリズムやファッション写真の分野で、両方のメディアに対する皮肉なアプローチや、珍しい写真技法を多用したことで知られている。 雑誌 "Professional Photographer"の「最も影響力のある写真家100人」の25位にランクインしている。クラインは1926年4月19日、ニューヨークの貧しいユダヤ人家庭に生まれた。高校を早々と卒業し、社会学を学ぶために14歳でニューヨーク市立大学シティ・カレッジに入学した。第二次世界大戦中はアメリカ陸軍に入隊し、ドイツに駐留、除隊後はフランスに定住した。1948年、ソルボンヌ大学に入学し、後にフェルナン・レジェに師事する。当時、クラインは抽象絵画と彫刻に興味を持っていた。1952年、彼はミラノで2つの個展を成功させ、建築家アンジェロ・マンジャロッティとのコラボレーションを始める。写真の道に進み『ヴォーグ』誌のファッション写真家として、またさまざまな都市のフォトエッセイで広く名声を得る。

Big Face, Big Buttons
Big Face, Big Buttons, New York, 1954

写真家としての正式な訓練を受けていないにもかかわらず、クラインは1954年に故郷に一時帰国した際に撮影した写真集『ニューヨーク』で1957年にナダール賞を受賞。クラインの作品は「ファッションの世界に対するアンビバレントで皮肉なアプローチ、当時一般的だった写真のルールに対する妥協のない拒絶、広角レンズや望遠レンズ、自然光、モーションブラーの多用によって革命的とみなされた。

パチンコ店
Pachinko parlor, Toshima-ku, Tokyo, 1961

ニューヨーク・タイムズ紙のキャサリン・クノールは、ロバート・フランクとともに、クラインは「ストリート写真の父の一人であり、分類するのが難しい人物を分類する、複雑な賛辞の一つ」と考えられていると書いている。1957年にプリ・ナダール賞、1999年に英国王立写真協会100周年記念メダルと名誉フェローシップ、2011年にソニー・ワールド・フォトグラフィー・アワードで写真への貢献賞を受賞。2005年12月には、ポンピドゥー・センターで大規模な回顧展が開催された。2012年には、ロンドンのテート・ギャラリーでウィリアム・クライン+森山大道展が開催された。

Antonia Mirrors
Antonia Mirrors, Paris, 1962

2018年に東京の21-21デザインサイトで "To The Rhythm Of New Technologies"(新しいテクノロジーのリズムへ)展を開催。 その後マドリードとバルセロナで "Mmanifesto"(声明)展が開催された。クラインが96歳でこの世を去ったのは、2022年9月10日、ニューヨークの ICP(国際写真センター)で開催された彼の回顧展が終了した直後のことだった。この回顧展は大成功を収め、近々その書籍が出版される予定である。

ICP  William Klein (1926–2022) | Biography & Artworks | International Center of Photography

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