2024年2月25日

シチリア出身のイタリア人マグナム写真家フェルディナンド・スキアンナの視座

Removing
Dismantled statue of Joseph Stalin, Budapest, Hungary, 1990
Ferdinando Scianna

写真家フェルディナンド・スキアンナは1943年7月4日、イタリアのバゲリーアで生まれた。1982年に国際的なフォトエージェンシーであるマグナム・フォトに参加した最初のイタリア人写真家である。シチリア島の田舎町で、息子の将来を医者かエンジニアにしようと考えていた質素な家庭に育った。幼い頃から写真に熱中するようになり、16歳のときに父親からカメラを与えられ、高校時代は友人の写真を撮ることを楽しんだ。高校卒業後、彼はパレルモ大学文学部哲学科に入学し、いくつかのコースを履修したが、写真家としての彼の作品に影響を与えることになるテーマへの強い情熱を持ち続けたものの、学業を終えることはなかった。1963年、作家のレオナルド・シャーシャ(1921–1989)は偶然、バゲリーア文化クラブで開催された大衆的な祭りをテーマとしたスキアンナの最初の写真展を訪れた。二人は会うと、すぐに友情が生まれ、それはスキアンナのキャリアにとって基本的なものとなった。シャーシャの支援は、出版界におけるスキアンナの重要な通過点となり、シチリアの写真家は最初の出版物を手に入れることに成功した。

Catholic festival
Catholic festival in Trecatagni. Sicily, 1963.

1965年、かの有名なシャーシャがテキストと序文を担当した "Feste religiose in Sicilia"(シチリアの宗教的祝祭)を出版した。この写真集は3年にわたる撮影の成果であり、1966年には権威あるナダール賞を受賞。1967年にミラノに移り、週刊誌 "L'Europeo"(ヨーロッパ)のでフォトジャーナリストとして働き始め、後に同誌の特派員、最終的にはパリ特派員となる。何度もシチリア島を訪れ、島民の表情や島に今も息づく民俗的な伝統を記録した。1977年、フランスでドミニック・フェルナンデス(1929-)とレオナルド・シャーシャのテキストによる "Les Siciliens"(シチリア人)を、イタリアで "La villa dei mostri"(怪物の別邸)を出版した。

Villalba, Sicilia
Black Clothed Wemen, Villalba, Sicilia, 1983.

パリでは若い頃から影響を受けていたアンリ・カルティエ=ブレッソン(1908–2004)に出会った。この偉大な写真家から1982年、国際的なフォトエージェンシーであるマグナム・フォトの最初のイタリア人写真家として紹介され、1989年に正式メンバーとなった。 その間、スペイン内戦の撮影でスペインを訪れた際に知り合ったマヌエル・バスケス・モンタルバン(1939–1003)をはじめ、さまざまな売れっ子作家と親交を深め、コラボレーションを行った。キャンペーンはシチリアで撮影され、チームは2人のデザイナーだけで構成され、写真家でもあるオランダのモデルのマルペッサ・ヘニンク(1964年生まれ)はメイクアップアーティストを持たず、自分でメイクとヘアを行った。

Mexic
People of Political meeting, Mexico, 1988.

スキアンナは、ファッション写真にしては珍しく幼少期からのロケ地を選んだが、彼のショットの成功は、1980年代後半のドルチェ&ガッバーナのキャンペーンとブランドの成長に不可欠な貢献をした。 1995年には宗教的なテーマに戻り "Viaggio a Lourdes"(ルルドへの旅)を上梓、1999年には有名なアルゼンチン人作家ホルヘ・ルイス・ボルヘス(1899–1986)のポートレートを発表した。2003年には、個人的・集団的な記憶の調査を通して、彼の青春時代の環境と雰囲気を再現した写真集 "Quelli di Bagheria"(バゲリーアの人々)を出版した。2006年12月、ネブロディ州立公園の2007年カレンダーが発表され、メッシーナの女優マリア・グラツィア・クチノッタ(1968年生まれ)の12ショットが掲載された。

Rome 2000
Sheeps in Piazza di Spagna, Rome, Italy, 2000.

同じシチリア出身のジュゼッペ・トルナトーレ(1956年生まれ)とともに、新作映画 "Baarìa" の公開を機に、2009年に写真集 "Baaria Bagheria"(バリア・バゲリア)を出版した。2020年にヴェネツィアで開催された最後の写真展を含め、このシチリアの写真家に捧げられた展覧会がいくつか開催されている。2021年に再版・改訂された "Autobiografia di un fotografo"(ある写真家の自伝)など、いくつかの小説も出版している。フェルディナンド・スキアンナは「写真は写真家によって作られるものではない。彼らがすることは、ただ小さな窓を開けてそれを写すことだ。そうすれば、世界はフィルムに自ずと書き込まれる。写真家の行為は、書くことよりも読むことに近い。彼らは世界の読者なのだ」という素晴らしい言葉を残している。

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